リコピン

リコピンはトマト製品を赤く色付ける、北アメリカとヨーロッパの食餌における主要なカ
ロチノイドのひとつです。
リコピンはカロチノイドの中でも卓越しています。植物においてもリコピンは他のカロチノイドと同様、光合成の際に光吸収色素として機能し、光感作から細胞を保護します。
近年の多くの疫学研究は癌と心疾患の予防におけるリコピンに関連しているため、リコピンへの興味は増えてきています。
カロチノイドを豊富に含む食餌はいくつかの健康の利益と関わっています。
リコピンは人間の生態学的機能と関わる独特の構造的化学的特性を持っています。

米国で消費されているリコピンの 80%以上は、トマト製品から摂取されており、アプリコ ットやパパイヤ、ピンクグレープフルーツ、グアバ、スイカが挙げられます。トマトに含有されるリコピンは非常に多く、トマトの種類と熟成度により異なります。
最も赤く熟し たトマトのリコピン濃度は 1 キロにつき 50mg 近く、黄色いものでは 1 キロたったの 5mg です。
リコピンは調理や食品加工過程を経ても比較的安定しているようです。
リコピンの生体利用効率は熱と脂質により影響を受けます。
食べる前に加熱する食餌は体内へのリコピン吸収を増加させることができます。
さらに脂質も胃腸管からのリコピン吸収を促進するようです。
いくつかの実験は、調理や食品加工がリコピンを含むカロチノイドの生体利用効率を促進するという概念を支持しているようです。
リコピン吸収は生のトマトよりも トマトペーストによる摂取後の方が優れているでしょう。
健康への利益
リコピンの健康への利益を報告しているものの多くは、酸化的損傷から細胞を保護する能
力によるものとしています。他のカロチノイドと比べ、リコピンに焦点を当てた研究は少
ないですが、研究はリコピンが他の主要な食餌カロチノイドよりも酸素ラジカルを除去す る効果があることを示唆しています。
現在リコピンに関する基礎科学は、証拠に基づく人体への介入研究の取り組みと共に確立
されてきています。いくつかの研究は、リコピンが増殖抑制効果を示す場所である細胞培
養におけるその抗癌作用を報告してきました。
2 つの大規模な患者対照研究はリコピンと消化管癌の危険性の減少を関連させてきました。 食道癌が一般的な北イランにおける患者対照研究は、週一回トマトを消費することが癌の 危険性を 40%減少させたことに関連していたことを発見しました。

最近のイタリアにおけ る患者対照研究は、 1 週間に 7 個またはそれ以上のトマト製品の消費が 1 週間に 2 個以下の 消費に比べ、胃癌の危険性を 50%減少させたことに関連していたことを発見しました。
リコピンはまた大腸癌の危険性とも関連しています。最近イタリアで発表された患者対照研究は、トマト製品を毎日消費している被験者が、週単位でそれを消費する被験者よりも 0.49 から 0.68 のオッズ比で、大腸癌の危険性を減少することが示されました。
乳癌とリコピンの逆相関も観察されてきました。近年のボストンにおける患者対照研究は
乳房組織内のリコピンと乳癌の関係を調査しました。
ネズミにおける研究は、リコピンを豊富に含むトマト脂油で治療されたネズミが、対照ネズミよりも潰瘍を進行させず、潰瘍 の大きさもより小さかったことを示しました。
リコピンと皮膚癌の関連性の研究も広まっています。結果はトマト製品やリコピンの不足
した食餌は、皮膚のリコピン濃度を減少せさる可能性を示唆し、日光により誘発される皮 膚の損傷に対する高い危険性を与えました。
前立腺癌とリコピンの関係を調査してきた研究もいくつかあります。
ある有望な研究がア ドベンチストの男性集団を対象に行われ、彼らは 1976 年に質問シートに応え、6 年間研究 に従いました。
トマト製品の消費は前立腺癌の危険率の減少と著しく関連していました。
相対危険率は 1 週間に 1 回以下トマト製品を消費した男性と比べ、 5 回以上消費した男性で 0.60 でした。
もうひとつの研究はもっとも広範囲にわたる総体的な研究で、男性集団を対 象に前立腺癌とリコピンを評価し、被験者は 1986 年に 131 項目の質問シートに答え、その 後数年間研究に従いました。
多く見積もられたリコピンを食餌により摂取した男性は前立 腺癌の危険性を減少させました。1 週間に 1.5 回以下トマト製品を消費した男性に比べ、10 個以上消費した男性に 35%の危険率の減少が見られました。
興味深いことに、トマトソー スはいかなる特定の食品と比べ最も強力に危険性を減少させていました。
トマトに含まれるリコピンと癌と戦う他の物質は免疫強化特質を持つようだと、ミラン大 学とイギリスのノーリッチの食品研究所の研究者らは言います。
研究実験は 3 週間に渡る トマトの豊富な食餌(1 日 4 分の 1 カップのトマトピューレ、16.5mg のリコピンを含む) が感染と戦う白血球を保護するのを助けることを証明しました。(アメリカンジャーナルオブクリニカルニュートリション、4/99)
リコピンと心疾患の関係もまた研究されています。
科学者はリコピンがその酸化防止特質により、コレステロール代謝にプラスの影響を与えると仮説を立てています。
研究者はリ コピンがコレステロール値を徐々に下げることができると示唆しています。